リネンサプライ分野は、ホテル・旅館・病院などで使用されるシーツ、タオル、寝具、ユニフォームなどを回収し、洗濯・仕上げを行って繰り返し貸し出す仕事です。

ホテルや医療施設などを支える重要な業界ですが、工場内での作業負担や人材の高齢化などにより、人手不足が深刻になっています。

こうした状況を受けて、リネンサプライ分野が新たに特定技能制度の対象となり、2026年6月1日から特定技能1号の在留資格に関する申請が可能になりました。

今回は、リネンサプライ分野で特定技能外国人を受け入れるための条件や、実務上の注意点についてお伝えします。

リネンサプライ業とは

リネンサプライ業とは、ホテル・旅館・病院・介護施設・飲食店などにシーツやタオル、寝具、ユニフォームなどを貸し出し、使用後に回収して洗濯・仕上げを行い、再び貸し出す事業です。

一般家庭から衣類を預かるクリーニング店とは異なり、大量のリネン製品を工場内の設備やラインを使って処理することが一般的です。

主に取り扱われるものには、次のような製品があります。

  • ホテルや旅館のシーツ、布団カバー、枕カバー
  • タオル、浴衣、ガウン、館内着
  • レストランのテーブルクロス、ナプキン
  • 病院や介護施設の寝具、病衣、パジャマ
  • 工場や飲食店などで使用するユニフォーム

2026年に特定技能の対象分野へ追加

リネンサプライ分野は、2026年に新しく特定技能制度の対象となった分野です。

2026年6月1日から、リネンサプライ分野における特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請や、他の在留資格からの変更許可申請が可能になりました。

これまでリネンサプライ業では技能実習生の受け入れが行われていましたが、特定技能分野に追加されたことで、一定の技能や日本語能力を持つ外国人材を即戦力として受け入れやすくなりました。

ただし、新しく追加されたばかりの分野であるため、試験や協議会などの運用情報が今後更新される可能性があります。実際に申請する際は、厚生労働省や出入国在留管理庁の最新情報を確認することが重要です。

誰でも受け入れられるわけではない

リネンサプライ分野は特定技能の対象になりましたが、洗濯やクリーニングを行っている会社であれば、どの会社でも受け入れられるわけではありません。

受入事業所は、原則として次のいずれかの衛生基準に関する認定を受けている必要があります。

  • 一般社団法人日本リネンサプライ協会が運用する、リネンサプライ業に関する洗濯施設・設備の衛生基準
  • 一般財団法人医療関連サービス振興会が定める、寝具類洗濯業務に関する基準

会社単位ではなく、実際に特定技能外国人が働く事業所・施設が認定を受けているかどうかが重要です。

複数の工場や事業所を運営している場合は、外国人が勤務する予定の事業所について認定状況を確認する必要があります。

リネンサプライ分野ならではの気を付けておきたいポイント

リネンサプライ分野で特定技能外国人を受け入れる際は、他分野と共通する雇用条件や支援体制に加えて、衛生管理や機械作業など、この分野特有の注意点があります。

以下では、実務上とくに気を付けておきたいポイントを整理します。

①衛生基準を満たした事業所でなければならない

リネンサプライ分野では、特定技能外国人が働く事業所について、所定の衛生基準に関する認定が求められます。

単に「ホテルのシーツを洗っている」「病院の寝具を扱っている」というだけでは、受け入れ条件を満たすとは限りません。

特定技能外国人の採用を検討する前に、自社の事業内容と事業所の認定状況を確認する必要があります。

②対象となる一連の業務に従事させる必要がある

リネンサプライ分野で対象となる主な仕事は、回収されたリネン類の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、包装、出荷などの一連の業務です。

一つの作業だけを担当させることが直ちに問題になるわけではありませんが、雇用契約書や職務内容では、リネンサプライ業務に従事することを明確にしておく必要があります。

清掃だけ、配送だけ、事務作業だけなど、関連業務のみを主な仕事にすることはできません。

③一般家庭向けクリーニングとは区別が必要

リネンサプライ業と、一般家庭から衣類などを預かるクリーニング業は同じではありません。

ホテル、病院、介護施設などにリネン製品を貸し出し、回収・洗濯・仕上げ・再貸与を繰り返す事業であることが基本となります。

一般家庭向けクリーニング店の受付や衣類の仕上げ作業を行わせる目的で、リネンサプライ分野の特定技能外国人を雇用することはできません。

④汚染区域と清潔区域の理解が重要

リネンサプライ工場では、回収された使用済みリネンを扱う区域と、洗濯・仕上げ後の清潔なリネンを扱う区域を分けていることがあります。

とくに病院や介護施設の寝具を扱う場合は、感染防止や衛生管理の観点から、作業動線や手袋・マスクなどの使用ルールを正確に理解する必要があります。

入社時の説明だけで終わらせず、外国人本人が理解できる言語や図、写真、動画などを使って繰り返し教育することが重要です。

⑤機械による巻き込まれや火傷に注意

リネンサプライ工場では、大型洗濯機、乾燥機、ロール機、投入機、折り畳み機など、さまざまな設備を使用します。

機械への巻き込まれ、高温部分への接触、重量物の運搬、濡れた床での転倒など、工場特有の労働災害にも注意が必要です。

「危険」「停止」「触るな」などの注意表示については、日本語だけでなく、外国人が理解できる表示方法を取り入れることが望ましいです。

⑥検品には一定の日本語理解と判断力が必要

リネン製品の検品では、汚れ、破れ、異物、仕上がり不良などを発見し、適切に仕分ける必要があります。

単純なライン作業に見えても、製品の種類、納品先、枚数、汚れの程度などを判断し、周囲へ報告しなければならない場面があります。

高度な日本語能力だけを求める必要はありませんが、作業指示、注意喚起、数字、製品名などを正確に理解できることが重要です。

⑦暑さ・湿度・立ち仕事への適性が必要

大型の洗濯機や乾燥機を使用する工場では、季節によって工場内が高温多湿になることがあります。

また、長時間の立ち仕事や、同じ動作を繰り返すライン作業も多いため、体力面を含めた適性の確認が必要です。

採用面接では仕事内容を具体的に説明し、可能であれば工場内の写真や動画を見せるなど、入社後のミスマッチを防ぐことが大切です。

⑧納品先ごとの細かなルールを覚える必要がある

リネンサプライ工場では、ホテル、病院、介護施設などの納品先ごとに、製品の種類、畳み方、結束方法、枚数、包装方法などが異なることがあります。

外国人本人の日本語能力だけに頼らず、製品写真、色分け、番号、作業見本などを利用して、分かりやすい作業環境を整えることが効果的です。

特定技能外国人本人に必要な条件

リネンサプライ分野で特定技能1号として働くためには、原則として次の両方の試験に合格する必要があります。

  • リネンサプライ分野特定技能1号評価試験
  • 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上

技能試験では、リネンサプライ業務に必要な知識や技能が確認されます。

ただし、2026年8月時点では、リネンサプライ分野特定技能1号評価試験の詳しい実施要領や日程について、引き続き最新情報を確認する必要があります。

そのため、海外から新たな人材を採用する場合や、他分野からリネンサプライ分野へ転職する場合は、試験の開始状況を確認しながら採用計画を立てる必要があります。

技能実習からの移行も可能

技能実習の「リネンサプライ仕上げ作業」を良好に修了した人は、リネンサプライ分野の特定技能1号評価試験と日本語試験が免除される可能性があります。

技能実習時の職種・作業と、特定技能で従事する業務との関連性が重要になるため、技能実習修了証明書、評価試験の合格証明書、技能実習計画などを確認して判断します。

単にクリーニング工場で働いた経験があるだけでは、必ずしも試験免除になるわけではありません。

技能実習の職種・作業名や修了状況を、事前に確認することが必要です。

協議会への加入が必要

リネンサプライ分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、厚生労働省が設置する「リネンサプライ分野特定技能協議会」への加入が必要です。

2026年7月31日から協議会の加入申請が始まっています。

協議会への加入手続きでは、事業内容や事業所の衛生基準に関する認定状況などを確認される可能性があります。

在留資格の申請直前になって慌てないように、次の事項を早めに確認しておくことが重要です。

  • 自社がリネンサプライ業に該当するか
  • 就労予定の事業所が必要な衛生基準を満たしているか
  • 協議会の加入に必要な書類がそろっているか
  • 特定技能外国人に担当させる業務が対象範囲に含まれているか

協議会の加入時期や在留申請に必要な証明書については、申請時点の最新案内に従う必要があります。

雇用条件は日本人と同等以上

リネンサプライ分野でも、特定技能外国人であることを理由に賃金を低く設定することはできません。

同じ工場で、同程度の経験や能力を持ち、同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬を支払う必要があります。

基本給だけでなく、次のような条件についても日本人との不合理な差を設けないことが重要です。

  • 残業代
  • 深夜手当
  • 休日手当
  • 通勤手当
  • 賞与や昇給
  • 福利厚生
  • 社会保険への加入

外国人本人が理解できる言語で労働条件を説明し、雇用契約の内容について十分に理解してもらう必要があります。

間違えやすいポイント

リネンサプライ分野は、一般的なクリーニング業、ビルクリーニング分野、宿泊分野などと間違えやすいため注意が必要です。

  • リネンサプライ分野
    ホテルや病院などへ貸し出すリネン製品の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷などを行います。
  • ビルクリーニング分野
    建物内部の床、廊下、トイレなどの清掃業務を行います。
  • 宿泊分野
    ホテルや旅館でのフロント、接客、企画、広報などの宿泊サービス業務を行います。
  • 一般的なクリーニング業
    主に一般家庭から衣類などを預かり、洗濯・仕上げを行います。

例えば、ホテル内でシーツを交換する仕事は、原則としてリネンサプライ工場で行う業務とは異なります。

また、洗濯済みの製品を取引先へ配送する業務だけに従事させることもできません。配送や工場内の清掃などは、リネンサプライ業務に付随する範囲で担当させる必要があります。

まとめ

今回のまとめ

  • リネンサプライ分野は2026年に特定技能の対象へ追加された
  • 2026年6月1日から特定技能1号の在留申請が可能になった
  • ホテルや病院などで使用するリネン類の入荷から出荷までの一連の業務が対象
  • 一般家庭向けのクリーニング業とは異なる
  • 特定技能外国人が働く事業所には、所定の衛生基準に関する認定が必要
  • 受入企業はリネンサプライ分野特定技能協議会への加入が必要
  • 技能実習のリネンサプライ仕上げ作業から移行できる場合がある
  • 衛生管理、安全教育、作業ルールの見える化が重要

リネンサプライ分野は、大量のリネン製品を安定して処理する必要があり、年間を通じて一定の人員を確保したい企業と特定技能外国人の相性が良い分野です。

一方で、受入事業所に求められる衛生基準や協議会への加入など、一般的な特定技能の要件以外にも確認すべき条件があります。

採用を始める前に、自社が対象となるリネンサプライ業に該当するか、外国人が働く事業所に必要な認定があるか、担当させる仕事が対象業務に含まれているかを確認しておくことが重要です。

Step In Globalでは、リネンサプライ分野の特定技能外国人の受け入れにご興味のある企業様に向けて、無料相談を承っております。

自社が受入れ対象になるか分からない場合や、協議会への加入、採用から支援までの流れについて確認したい場合は、ぜひお気軽にご相談ください。