介護分野の特定技能は、介護施設などにおいて、身体介護や生活支援といった現場業務を担う人材を受け入れる制度です。高齢化の進行により人材不足が慢性化している分野であり、2026年現在も国として重点的に受け入れを進めている分野の一つです。
今回は、特定技能「介護」分野で人材を受け入れる際のポイントについて解説します。
他分野と比べても制度要件が明確
介護分野でも、特定技能人材を受け入れるためには「介護分野特定技能協議会」への加入が必要です。ただし、建設業や一部製造業分野のように複雑な業界団体加入や高額な年会費が発生するケースはなく、制度要件は比較的シンプルです。また、介護分野は国の政策的優先度が高く、制度運用も安定しているため、正しく要件を押さえていれば受け入れを進めやすい分野といえます。
介護分野ならではの気を付けておきたいポイント
介護分野で特定技能人材を受け入れる際は、制度理解に加えて、他分野にはない「対人支援」「倫理観」「日本語力」が強く求められます。以下では、介護分野特有の注意点を整理します。
事業所ごとの受け入れ人数の制限について
特定技能「介護」分野では、無制限に外国人材を受け入れられるわけではなく、各事業所ごとに受け入れ人数の上限が設けられています。これは、介護サービスの質を維持し、適切な指導・管理体制を確保することを目的とした制度設計です。
基本的な考え方
特定技能外国人の受け入れ人数は、同一事業所で雇用している日本人等の常勤介護職員数を上限とするのが原則です。
つまり、外国人材が過度に集中することを防ぎ、日本人職員とのチームケアを前提とした運営が求められています。
この人数制限により、教育やOJTが行き届き、日本人職員との連携もしやすくなります。また、利用者や家族にとっても安心感のある介護体制を維持できます。少人数から段階的に受け入れ、着実な定着を図れる点が、介護分野に適した制度の特長です。
その他にもいくつか重要なポイントがあるので簡単にまとめさせていただきます。
①身体介護が業務の中心
食事介助、入浴介助、排せつ介助、移乗介助など、利用者の身体に直接関わる業務が中心となります。単なる補助業務のみでは特定技能「介護」として認められません。
②日本語能力はN3相当以上が必須
介護分野では、特定技能評価試験に加え、日本語能力試験(N3以上)または介護日本語評価試験への合格が必要です。利用者との会話や記録作成があるため、他分野より日本語力が重視されます。
③感情労働への理解が重要
介護は利用者や家族との関わりが深く、精神的な負担も伴う仕事です。技術面だけでなく、思いやりや忍耐力が求められます。
④夜勤・シフト勤務への対応
多くの施設で夜勤や早番・遅番が発生します。シフト勤務への理解と、長期的に安定して働ける環境整備が重要です。
⑤記録・報告業務が発生する
介護記録の記入や申し送りなど、一定の読み書き能力が必要です。業務マニュアルの多言語化やフォロー体制の整備が受け入れ成功のポイントとなります。
⑥利用者の尊厳・個人情報への配慮
利用者のプライバシーや尊厳を守る意識が不可欠です。日本独自の介護観や接遇マナーについて、丁寧な教育が求められます。
技能実習・留学生からの移行が多い分野
介護分野では、技能実習(介護)を修了した人材や、介護福祉士養成校を卒業した留学生が、特定技能へ移行するケースが多く見られます。いずれも日本の介護現場をすでに経験しているため、業務内容や日本の介護文化への理解があり、即戦力として活躍しやすい点が大きな特徴です。また、介護分野にはEPA(経済連携協定)に基づく在留資格も存在しますが、EPA介護人材は国家資格である介護福祉士の取得が前提となり、受け入れ人数や手続きが限定的です。受け入れまでの準備や教育負担も大きく、対応できる施設は限られています。一方、特定技能「介護」は、EPAと比べて制度要件が現実的で、受け入れ可能人数も多く、企業側にとって導入しやすい在留資格です。技能実習や留学生からの移行がしやすい点もあり、現在の介護現場では最も活用が進んでいる受け入れルートといえます。
訪問介護解禁についてと現状
特定技能「介護」分野では、2025年4月から深刻化する人手不足への対応策として、一定の条件を満たす場合に限り、訪問介護への従事が認められるようになりました。これにより、施設介護にとどまらず、在宅介護分野でも外国人材を活用できる道が開かれています。
訪問介護は、利用者一人ひとりに寄り添った対応や高いコミュニケーション力が求められる業務であるため、受け入れにあたっては日本語力や介護スキル、同行研修・指導体制の整備など、一定の準備が必要となります。その分、条件を満たした人材は質の高い介護サービスを提供できる存在として、大きな戦力になることが期待されています。
現時点では、まず施設介護で経験を積んだ特定技能人材を段階的に訪問介護へ活用するケースが中心ですが、制度の理解や受け入れノウハウが蓄積されることで、今後は訪問介護分野においても活躍の場が広がっていくと考えられます。
特定技能人材の活用は、介護現場の安定的な人材確保だけでなく、サービスの継続性や質の向上にもつながる、将来性の高い選択肢と言えるでしょう。
まとめ
本日のまとめ
- 制度の位置づけ:介護分野は国の重点受け入れ分野で、制度要件が明確かつ安定しており導入しやすい。
- 業務と人材要件:身体介護が中心で、日本語N3相当以上や対人支援への理解が必須。
- 受け入れ人数制限:事業所単位で日本人常勤職員数を上限とし、教育・定着を重視した設計。
- 人材の流入経路:技能実習修了者や留学生からの移行が多く、即戦力化しやすい。
- 今後の展望:訪問介護解禁により活躍の場が拡大し、段階的活用で将来性の高い分野。
介護分野の特定技能は、人材不足や少子高齢化という課題に対する現実的かつ持続可能な解決策として、今後ますます重要性が高まっていく制度です。制度要件や人数制限を正しく理解し、段階的に受け入れを進めることで、外国人材は現場の大きな戦力となります。また、技能実習や留学生からの移行、訪問介護への活用など、将来に向けた選択肢も広がっています。自施設に合った受け入れ方法を検討し、長期的な定着とサービス品質の向上につなげていくことが重要です。
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