建設業分野の特定技能は、深刻な人手不足が続く建設現場を支える即戦力人材を受け入れる制度です。型枠施工、鉄筋施工、とび、内装仕上げなど、現場作業に直結する専門職種が対象となっており、技能実習からの移行者がほとんどの割合をしめているのが特徴です。今回は、特定技能の建設業分野の受け入れる際になぜ技能実習からの移行が多いのか?そして受け入れるための準備に何が必要なのか?をポイントに解説したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

①建設業許可・体制要件が厳格

建設業分野で特定技能人材を受け入れるためには、建設業許可を適切に取得していることが原則となります。あわせて、健康保険・厚生年金・雇用保険など、社会保険への適正加入が必須です。許可業種と実際の作業内容が一致しているか、保険未加入や形式的な加入がないかも確認されます。下請・協力会社であっても、法令を遵守した雇用管理体制が求められます。

②建設キャリアアップシステム(CCUS)への対応が必要

建設キャリアアップシステムとは、建設業で働く技能者一人ひとりの資格・経験・就業履歴を見える化し、適正な評価につなげるための国主導の仕組みです。

③建設技能人材機構(JAC)への加入が必須

建設業分野で特定技能人材を受け入れる場合、建設技能人材機構(JAC)への加入が必須となります。JACは、建設分野における特定技能制度の適正な運用を担う機関です。原則として、在留資格申請前に加入を完了している必要があり、後追い加入は認められていません。また、年会費や受入負担金が発生する点も、事前に把握しておく必要があります。年会費に加え、特定技能人材1人あたりの受入負担金が継続的に発生するため、コスト面も含めた計画的な受け入れが重要です。この点は、他の特定技能分野と比べても、建設業ならではの大きな特徴といえます。

④国土交通省の認可も必要

建設業分野の特定技能では、入管手続きに加えて、国土交通省による認可・確認が必要となります。JAC加入状況や建設業許可、受け入れ体制などが国交省所管でチェックされます。このため、他分野に比べて審査工程が多く、手続き全体に時間を要しやすい点に注意が必要です。

上記①~④の認可、加入を経てようやく入管申請

このように、建設業分野では①建設業許可証の取得→②建設キャリアアップの登録→③JACへの加入→④国土交通省による認可といった複数の要件をすべて満たした上で、ようやく入管への在留資格申請が可能となります。他分野と比べて事前準備の工程が多く、受け入れ開始までに時間を要する点が、建設業特定技能の大きな特徴といえるでしょう。特にJACと国交省は少なく見積もってもトータル3か月はかかると思っておいたほうがよいでしょう。建設業許可証も有効期限があるのでうっかり期限が切れていたなんてことはないように事前にチェックしておく必要があります。

なぜ建設業の特定技能は技能実習からの移行が中心なのか

建設業分野の特定技能制度では、制度上は新規採用も可能とされていますが、実際の受け入れは技能実習からの移行が中心となっているのが現状です。その背景には、建設業ならではの現場特性や企業側のリスク判断があります。

① 新規採用(海外から直接特定技能)が極めて難しい

建設業は職種ごとの技能が細かく決まっていて安全管理・危険予知の理解が必須。現場ルールが複雑という特徴があり、完全未経験者をいきなり特定技能で受け入れるのは現実的ではありません。 そのため、海外試験合格者を直接採用するケースはかなり少数です。

② 技能評価試験の合格者=即戦力とは限らない

特定技能の建設分野では、技能評価試験 日本語試験 に合格すれば制度上は要件を満たしますが、 試験に合格していても日本の建設現場で即戦力になるとは限らないのが実情です。企業側もリスクを取って新規採用するより、 すでに日本で働いた実績のある人材を選びがちです。

③ 技能実習修了者は「現場適応済み人材」

技能実習修了者はすでに日本の安全ルール、作業指示の日本語、現場での立ち振る舞い、暑さ寒さ・体力面を経験しています。そのため建設業では、「技能実習 → 特定技能」は最も自然でリスクの少ないルートになっています。

Information

建設業では、最初から完璧な即戦力であることよりも、技能実習を通じて日本の現場ルールや安全意識に慣れていることが重視される傾向があります。

常勤人数を上限とした受け入れ制限に注意

建設業分野の特定技能では、受け入れ可能人数の上限が常勤人数によって決まります。ここでいう常勤人数とは、健康保険・厚生年金などの社会保険に適正に加入している常用雇用者数を指します。アルバイトや社会保険未加入者は常勤人数に含まれないため、想定より受け入れ人数が少なくなるケースもあります。そのため、採用計画を立てる際は、社会保険の加入状況を含めて事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

今回のまとめ

  • 技能実習からの移行が中心:新規採用よりも、現場経験と安全意識が身についている技能実習修了者の移行が主流
  • 事前準備のハードルが高い:建設業許可、建設キャリアアップ、JAC加入、国土交通省の認可など、入管申請前に満たすべき要件が多くある
  • 審査・手続きに時間がかかる:JACや国交省の確認を含め、受け入れ開始までに数か月単位の準備期間が必要
  • 受け入れ人数には上限がある:社会保険に加入している常勤人数を基準に、受け入れ可能人数が制限される

いかがでしたでしょうか。建設分野の特定技能は、制度理解や事前準備に時間と費用を要する分野です。それでもなお、現場を支える即戦力人材を確保する手段として、多くの企業が受け入れを検討しています。

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