造船・舶用工業分野の特定技能は、溶接や鉄工、塗装、電装など専門性の高い工程を担う即戦力人材を受け入れる制度です。日本は世界有数の造船国として高い技術力を持つ一方、若年の日本人就業者が減少し、人手不足が特に深刻な分野となっています。そのため技能実習からの移行者を中心に安定した受け入れが続いており、専門技能が前提となることから現場定着率が比較的高く、賃金水準も製造業の中では高めなのが特徴です。
今回は、特定技能の造船・舶用工業分野の受け入れる際になぜ技能実習からの移行が多いのか?そして受け入れるための準備やポイントは何か?を解説したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

なぜ技能実習からの移行が多いのか?

造船・舶用工業分野で従事する作業は、主に溶接を中心に、鉄工や塗装などの専門工程が挙げられます。中でも溶接は、技能実習の中でも特に人気の高い職種の一つです。その背景には、溶接が「手に職をつけられる技能」として将来性のある職業と認識されていることがあります。また、技能実習で溶接を良好に修了すれば、特定技能では工業製品製造業や造船・舶用工業、建設業など、幅広い分野への道が開けます。
このような理由から、特定技能試験ルートで直接入国するよりも、技能実習を経てから特定技能として溶接関連での就労を希望する人が多いと考えられます。

協議会への加入と受け入れ後の国交省への報告

造船・舶用工業分野における協議会への加入は、2026年現在、費用はかかりません。また、特定技能人材を受け入れた後は国土交通省への定期報告が義務付けられていますが、特に問題がなければ手続き自体はそれほど複雑ではありません。そのため、参入のハードルは比較的低い分野と言えます。

工業製品製造業や建設業の溶接と同じではない

技能実習制度では、基本的に作業内容をベースに受け入れが決まるため、「溶接経験があれば幅広い現場で作業可能」と考えられます。しかし、特定技能制度では、分野ごとの専門性や求められる技能・知識が明確に定められており、作業経験だけではすべての分野にそのまま通用するわけではありません。
簡単に言うと、造船・舶用工業分野では作業は基本的に船上で行われるため、陸上の現場での溶接作業は原則として認められません。
一方で、建設業や工業製品製造業の溶接作業は陸上の現場や工場内が中心となります。建設業では建物や橋梁など大型鉄骨の組立・溶接が主で、工業製品製造業では精密部品や薄板の溶接が多く、対象物や作業環境によって求められる技能や作業手順が異なります。このように、特定技能制度では分野ごとに作業環境や技能要件が明確に区別されていることが特徴です。

技能実習から造船・舶用工業分野に移行できる作業

現在、造船・舶用工業分野で受け入れが可能な特定技能1号の業務は、主要なものとして以下の7つの作業区分があります。これにより、溶接や鉄工以外にも多岐にわたる専門人材が必要とされていることが明確になります。

  • 溶接(手溶接、半自動溶接など)
  • 鉄工(船体のブロック組立、部材の加工など)
  • 塗装(船体の防錆・仕上げ塗装など)
  • 仕上げ(配管や機関の取り付け・調整など)
  • 機械加工(部品製造)
  • 電気機器組立て(電装品の配線・取付など)
  • 熱絶縁(配管などの保温工事)

まとめ

本日のまとめ

  • 現状: 若手不足が深刻な造船分野で、溶接・鉄工などの専門技能を持つ即戦力人材を確保。賃金水準が高く、定着率も高い
  • 移行の背景: 技能実習で人気の溶接を修了すると、特定技能移行時に試験が免除されるため、実習からの移行が主流
  • 参入要件: 協議会への加入は無料で、受け入れ後は国土交通省への定期報告が必要
  • 作業の特性: 船上での作業が原則であり、建設業や製造業の陸上での溶接とは明確に区別される

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